第34章 surround ■ 【番外編】
だからなのか、レイが傑に向けている感情にもずっと前から簡単に気が付いていたみたいだったが、気が付かないふりをしていたらしい。
そのタガが外れたきっかけは、五条悟の存在らしかった。
そして五条に言われたとある会話もきっかけだったらしい。
(その会話の内容はおいらは知らん。多分この2人しか知らない)
※のちのち出てきます。
だが、彼女が自分に向けている無邪気な笑顔を他人に向けたり、触れたりしていることにいい気はしなかったなどというチンケなものでは無い。
彼女にとっての夏油傑という存在が五条悟に入れ替わってしまうかもしれない。彼女を奪われるかもしれない。という一言でも表せない。
自分の存在意義が危ぶまれたのだ。
初めは、光るダイヤの原石を見つけてきたような感覚だったのかもしれない。
あるいは拾ってきた子猫に妙に好かれてしまい、育てて可愛がるような感覚と似ていたかもしれない。
往々にして人間というのは、そういった存在に愛着が湧くものだ。
彼女は自分がいないとダメだ。
最後まで責任を持って自分が面倒を見なくては…
いつまでも自分にだけ従順で、自分がいないと何もできない子でいてほしい。
自分しか、この子を幸せにすることはできない。
いつまでもそう言う立場でありたかったし、そう思われていたかった。
そしてなんと傑はこんな自分自身にも気がついているほど客観的でリアリストだったんだ。
だからいつも、そんな自分とレイの関係に葛藤していた。