第34章 surround ■ 【番外編】
それによって、おいらはその頃の傑の意識をも感じるようになった。
第一印象…
あぁ、この男は優しすぎるな。だった。
レイのことが好き。それは伝わった。
しかしどちらかというと、"心配"と"戸惑い"というような感情のほうが強かった。
責任感、正義感、人間として至極真っ当なものがとてつもなく強いこの男は、レイは自分が守るべき存在であり、自分が最後まで導いてやらねばならない存在という思いがあまりにも強く出ていた。
そしてその反面あったのは、
この純粋無垢ななんの穢れもない彼女の1番近くにいてもいいのだろうかという戸惑い。
なぜその想いがあったのか、おいらにはわかった。
傑は頭が良く、感受性が豊かだ。
そのくせこいつは面白いくらいに冷静沈着。
つまりはかなりのリアリストだった。
レイのことを想えば想うほどに、彼女を穢し傷つけ呪う…そんな未来が想像できていたのだ。