第34章 surround ■ 【番外編】
真美は心が落ち着いてきたところで何度もお礼を言った。
只者じゃない不良グループ4人を前にすると、緊張感はまだあるのだが…
「あの…皆さん本当にありがとう。もう1人で帰れるから…大丈夫。」
「そう?なにかあったらまたすぐに連絡してね?約束ね?」
レイの言葉に、真美は苦笑い気味で頷いた。
「わかった。でも、あれだけやられたわけだし、もうなんにもしてこないと思う。」
「いやあいつらだけじゃなくってだよ!
他に、もっとやばいのこの先も現れるかもしれないでしょ?」
ニッコリと笑うレイの後ろで夏油も同じような優しい笑みを浮かべている。
「うん。ありがとう。
あの…夏油くんと最後…ちょっと話してもいいかな?」
「あ、うんいいよ!」
レイは離れて五条たちの方へ行った。
「夏油くん…ごめんね。あの時のこと…なんか彼女さんに誤解させちゃったみたいで…」
「あ、あ〜、ははは。大丈夫さ。
彼女は見ての通り優しいんだ。彼女以外は…ま〜あれだけど。」
笑いながら五条と硝子をチラ見する。
「それより怪我はないかい?大丈夫だった?」
心配そうに身をかがめて顔を覗き込んでくる夏油に、真美はハッとしたように目を背ける。
「なっないない!みんなとっても強かったから…守ってくれて本当に助かった。」
「そ。ならよかった。本当はレイも手を出さないで終わらせるつもりだったんだ。万が一向こうが手を出してきたら私達も加勢して話だけで何もしない予定だったんだけど、君にまで危害が加わりそうだったからついね…」
昔からひとつも変わっていない…
優しく目を細めて微笑む夏油に、真美の鼓動が速くなる。
「あのさ…夏油くんは恋人でもない女の子にも昔から優しいけど、やっぱりそれって恋人からするとけっこー辛いことなんだ…
だからさ、私が今更こんなこと言うのって、おかしな話だけど…もう彼女以外にはあまりそういう笑顔を向けない方がいいよ…」
「…え?」
「だから夏油くん、自分では気づいてないのかもしれないけど、言わせて。夏油くんは女の子全員に、あまりにも優しすぎるの。しかもその破壊力MAXの笑顔で見つめられたらイチコロなんだからさ…ねえ気を付けて?彼女さんのためにも。」