第34章 surround ■ 【番外編】
すると、硝子が気だるそうな声を出した。
「私も入ってんのかよ…
あんたらどっちかだけでいいっしょ」
「いやそれだとフェアじゃねーじゃん!」
「まぁでもハンデくらいはくれてやらないと…
瞬殺も面白くはないだろう?」
夏油の言葉に、真美が、しゅ…瞬殺って…と呟いていると、五条が納得いかない顔をした。
「えぇ、俺タイマン勝負ってのしてみたかったんだけどー!なんか青春っぽくていいじゃん!」
「でも1対1なんて、悟こそ手加減できないだろう?」
「いや頑張って手加減してみるからさ!!」
「よしではこうしよう。私たちは足を使わないルール。」
「んーそれ意味無い気がするわー。両足はもちろん使わず、片手だけ使うってのはどう?」
「なるほど、それなら利き手ではない方のみを使う。これでどうだ?」
「おーいいねいいね!さすが傑くん!」
「レイもそれでいいかい?」
「うん、いいよ。」
さっきから目を点にして聞いていた男たちは、我に返ったようにいきり立った。
あまりにも舐めているとしか言いようのない会話に、完全に切れたようだ。
「くっそ…なめやがって…こいつら…」
「よしよし、じゃあペアを決めよう。
お前らん中で1番強いのだ〜れ?」
「「え…」」
男たちはクズ男の方をチラと見た。
「うん、おっけー。お前ね。
じゃー俺と組もう。」
「待て。私に譲ってくれ悟。」
「え、私がそいつと組みたいよ!」
「いいや私も入ってんならそいつ寄越せ!」
夏油とレイと硝子が口々に言う。
真美は口をパクパクしたまま頭が真っ白になっている。
「はぁ、もう。じゃーじゃんけんな!」
男たちはただただじゃんけんが終わるのを見守っていた。