第34章 surround ■ 【番外編】
男の宙に浮いた足はバタバタと揺れ、夏油の片手を両手で必死に掴んでいるが全く意味がなくビクともしない。
どころか、ますます締め上げられていき、徐々に男の抵抗が弱まっていく。
「…ふふっ……」
夏油はさっきから終始微笑みっぱなしだ。
優しげな笑みなのに、醸し出しているオーラは非常に冷徹で、そのギャップがなんとも言えない彼特有の不気味さを漂わせている。
真美も他の男たちもあまりの恐怖に目を見開いて固まることしかできず、レイは夏油と同じくらい朗らかな笑みを浮かべてニッコリとしており、硝子はそれには目もくれずにタバコの吸殻を律儀に携帯灰皿に入れている。
五条が何食わぬ顔で笑って言った。
「ははっ、傑、マジで死にそうになってるよ?そいつ。」
「っあ、おっと、すまないね。」
目を白黒させていた男は、夏油がパッと手を離したことによってバタリと地面に落ちた。
「ゲホッ!ゴホッゴホッ」
「あーあ。大丈夫〜?」
五条がサングラス越しに男を覗き込むと、
ほかの3人は震えながらも鋭く睨む。
「て、てめーらどこ高だよ。人殺しになるつもりか?!」
「あ〜俺らフツーの高校生じゃないんだ。残念なことに。
だから手加減の仕方とかよくわからないわけ。」
「は、はあ?」
「あっ!でも……いち、にぃ、さん、しぃ…いち……」
五条は突然数を数え出し、そしてニッコリと笑った。
「4対4で、数は一緒か!
てことは、一応はフェアなわけだ!」