第34章 surround ■ 【番外編】
そして後日…
悩める乙女…真美ちゃんと対面する。
真美は会った時からずっと困惑気味だ。
「あの…本当に大丈夫なの?
その彼…かなり喧嘩とか強いけど…」
レイはニッコリと笑って手を握った。
「大丈夫大丈夫!私を信じて!
ラインで話してた通り、そいつをここに呼び出してくれるだけでいいから!」
ここはあまり人気のない公園だ。
市街地からも離れているし、喧嘩を売られても余裕で買うことができるだろう。
真美は、不安になりながらも、レイがそいつ呼ばわりしている彼氏に電話をかける。
夏油くんの彼女…
本当にこんなにこやかで細身の小柄な女の子だけで大丈夫なのだろうか?
夏油くんがいるならまだしも…
怯えたようにベンチに座っていると、レイがニッコリ笑って言った。
「大丈夫だよ!真美ちゃん!
こーゆーときって、男より女の方がいいと思うんだよね〜
それに、私ってこう見えてけっこー強いんだよー?
あ、傑ほどではないけどね?」
「…そ、そうなんだ?
夏油くんの彼女から連絡なんてビックリしたよ。
てっきり浮気を疑われちゃったかと…」
「アハハ!そう思ってたよっ。正直すごく妬いたし。」
「じゃあ…どうして助けてくれるの?」
「だって同じ女の子として放っておけるわけないし、優しくない男なんてさいってーだよ!絶対に成敗しないとっ!」
屈託のない笑みと強い言葉に、真美は目を見開く。
この人は…ものすごく純粋だ…
普通の人間には絶対にあるはずの心の穢れが何も無い…
「っ!ねぇその傷…彼氏にやられたの?」
「あ…うん…コップを投げつけられて…その破片が…」
「酷すぎるっっ!!!」
レイは泣きそうな顔で真美の手を握った。
真美の鼓動がドクンと跳ねる。
レイはポケットから絆創膏を取りだし、そこに貼る。
それはなぜだかプーさんの絆創膏で、真美は目を見開く。
「あ…ありがとう…」
「ううん!女の子は可愛くいなくちゃね!」
満面の笑みでレイに両手を握られ、真美の顔は赤くなった。
「っあ!…あれかな?…うわぁ〜」
その時、明らかに柄の悪そうな腰パンの高校生が4人も公園に入ってきた。
ガムを膨らませながらポケットに手を入れ、つかつかとこちらに向かってくる。
レイも真美も同時に立ち上がった。