第34章 surround ■ 【番外編】
「っは……ふ……っ…んん…すぐっ……」
息継ぎも許されないような深く濃密な口付けに、苦渋の表情を浮かべ息を荒らげながらも、身体は正直だった。
もっともっとと強請るように、夏油に跨って首に巻きついた。
「は…… レイ…っ」
腰を強く引き寄せられ、もう片方で後頭部を押さえられ、何度も角度を変えて交わす口付けのリップ音は今までにないくらいに大きく官能的だと思った。
それだけで、身体が火照ってきて血流が速くなる。
そのままゆっくりと体を倒されてベッドに組み敷かれた。
それでも口付けは激しくなる一方で、飲み込みきれない唾液が口の端から流れていく。
パッと唇が離れ、ハァハァと互いに呼吸を整え、同時に笑った。
「ふ…ごめんね。つい…我慢できなくなって…」
「へへ、私も…傑の気持ち聞いて…嬉しくて…」
色欲を纏った互いの視線が絡み、夏油が優しく指で唇を拭った。
そして、悩ましく微笑む。
「……にしても…みんな勘違いしているから説明してこなくちゃな…全部1から説明するしかない…か…」
「っあ、そう…か…私、に、妊娠してると思われてるんだもんね…」
「あぁ…私は皆に殺される寸前だったよ。
まぁ全ては愚かなこの私のせ」
「え!」
「いやホントそのくらい殺気立っていた。
皆凄まじい気迫だったよ。
私だけじゃなくて、皆にとっても君は大切な存在なんだ。」
ニッコリ笑って頭を撫でられ、レイは嬉しさと羞恥で目頭が熱くなる。
「…わ、私もちゃんと…説明するよ。
勘違いさせちゃったのは私の責任でもあるし…」
「君が責任を感じる必要は1ミリもないけど…できれば一緒に来てもらえるとありがたいよ…なにしろ今の私は完全に皆の敵だからね。」
はははと苦笑いしながら夏油が起き上がった。
「じゃあ行こ」
「やだ待って!!」
「…え?」
グイッと腕を引いて引き戻し、また夏油が覆い被さる。