第34章 surround ■ 【番外編】
「…本当にその子に対して他意はないんだ。
というか、なさすぎて逆に君の悩みにすら気付けなかった」
「そ……なんだ……」
唖然としているレイの手を握って、夏油は焦ったように言った。
「本当にすまない。全くもって私は何も考えてなかった。」
「う、ううん。傑が優しいのは知ってるし、その…むしろ…ごめんね。私が変な勘違いを……」
「いや、悪いのは私だ。どんな理由があろうと他の女性に触れるなんて裏切り行為だ。迂闊だった。言語同断だ。君を悲しませていたなんてもうこれは私の責任だから… レイ、私を殴ってくれ。」
「ええ?!?!」
とてつもなく真剣に言われ、レイは慌てて両手で手を握り返す。
「何言ってるの…私怒ってないよっ。
むしろ、傑の優しさにまた惚れ直しちゃったくらいで。
それにそんなっ、好きな人を殴るなんてどんな理由があろうと絶対にできない!そのDV男とは違うんだからっ」
言い終わる前にギュッと抱きしめられる。
「ぁぅ……傑っ…」
「…君は……」
髪や耳元に何度も唇が触れ、時折リップ音がする。
甘い吐息が鼓膜を揺すり、ゾクッと鳥肌が立つ。
「君は…なんて良い女なんだろう……
君以上の女なんて、どこを探しても絶対にいないよ…」
レイは一気に顔が熱くなりながら夏油の背中に腕を回した。
背中をさすられ、あぁ…やっぱりこの人が大好きすぎる…手離したくないと再認識する。
「女の子はこうして背中をさすられると安心するの…
傑のおかげでその子はきっとその時、すごく落ち着いたと思う」
「……でも……ごめんね。
許してくれるかい?」
レイはほんのり笑って、耳元で、うん。と囁いた。
夏油の身体が離れ、優しく顎を持ち上げられる。
眉を顰め、心底申し訳なさそうな顔をしている夏油の表情に胸が締め付けられる思いがした。
「そんな…顔し…っ」
噛み付くようなキスが降ってきた。
舌を割り入れられ、奥から一気に絡め取られ、息ができなくなる。