第34章 surround ■ 【番外編】
「ごめんね、レイ。とにかく、
君がどちらを選択しようと、君のそばにいるから…」
「……??…どういうこと?」
「…え?だから、そのままの意味だよ。」
レイは少し頭が混乱し始めた。
言っている意味がよくわからない…
私を取っても、あの女性を取っても、どちらにしても私のそばにいるっていうのはどういうことだろう?
「はぁ…やはり離したくないな…
君のことを。私は…はぁ…迂闊だった…」
耳元に、夏油の呟きが聞こえた。
レイは眉間を寄せ唇を噛む。
「…じゃ、じゃあなんで?…そんなこと言うのになんでほかのっヒトと…」
「………え?何の話だい?」
「…は?…だからさっきから話してる話だよ。
私の傍にいたいって言うくせに……じゃあどうして他の女の子と…抱き合ってたの?…ただの一時の気の迷いなの?」
夏油の体がピクっと動いた。
そして、数秒固まったまま沈黙したあと、レイの体をゆっくりと押し剥がした。
「…あ…… レイ…えっと…
どうやら君と私は全く違う話をしていたらしい…」
夏油の気まずそうな表情を見てレイも不安の表情になる。
「……は?」
「…あの…っ…一応確認させてくれ。
その、君は……に、に、」
「…へ?なに?」
夏油がレイの頬に手を添え、意を決したように口を開きかけた時だった。
ドンドンドンドン!!!
激しいノックの音に、2人同時に肩が上がり、夏油の手が離れた。
「おーいレイ、夏油、いるよね?
悪いけど、渡したいもんあるから開けて?」
硝子の声に、レイが立ち上がり、ドアを開ける。
硝子が酷く心配そうな顔をしていて、離れた壁に神妙な面持ちで寄りかかっている五条が見える。