第34章 surround ■ 【番外編】

｢げ…と…さんっ…あなたは…っ｣

夏油はそれを見つめたまま固まっている。

騒音を聞きつけたのか、冥冥が現れた。

｢なにをしてるんだい。勢揃いで。｣

｢…あぁ…冥さん…夏油の奴が…あれを……
だから… レイが大変なことにっ…｣

たちまち目を潤ませる硝子の言葉に、冥冥は夏油の持っているものを見て唖然とし、そして全てを察した。

｢ほう……夏油くん……
レイちゃんと喧嘩をしただけだと思っていたが…いや、それだけでも相当罪深いというのに…君という男はそこまで堕ちていたのか…｣

｢おい夏油、何も言わないってことは、思い当たる節あったってことだな？｣

｢はー、俺は恥ずかしいよ。親友がまさかこんな…｣

五条と硝子がそう言うと、夏油は目を見開いたまま額に手を当てた。


｢ショックです…私は五条さんより夏油さんを尊敬していたというのに…｣

｢私もだよ。私も五条くんより夏油くんを買っていたというのに。｣

七海と冥冥の言葉に、五条の表情がコロッと変わった。

｢え…。なにそれ…。え、え、
なんで俺がこの状況で貶されてる感じになってんの？｣


灰原はポカンとした表情のままキョロキョロしている。

｢あ、あのっ？…夏油さん！よくわからないけど大丈夫ですよ！僕はなにがあろうと夏油さん側につきますから！
2対4だけどきっと大丈夫！僕頑張りますから！｣

｢｢・・・｣｣


｢いかなる理由があろうと、私は初めっからレイちゃんの味方だ。覚悟しておくんだね、夏油くん。｣

｢全くだ。｣
｢あぁ。｣
｢同意です。｣


｢・・・｣

夏油はソレを握り締めたまま、ゆっくりと歩き出し、皆の横を通り抜け出ていってしまった。

｢っあ！夏油さ！｣

｢追うな灰原。2人で話をさせなくては…。｣

七海に腕を掴まれ、灰原は結局最後まで目をパチパチと瞬かせているだけだった。