第34章 surround ■ 【番外編】
「…よく分からないが…それは君には言われたくないな…」
「なんだと傑ー!!!」
「ちょちょっと待って待って!!」
飛びかかろうとする五条を必死に止めようとする灰原。
「…何をしているんです?灰原まで…」
声をかけてきたのは七海だった。
驚いたような顔をしている七海に、硝子は口ごもる。
「ん…あのね七海…これはそのっ…」
「ダメだ、硝子。言うな…」
「わかってるよ…」
五条に小声で制され、硝子は顔を険しくしながら口を噤んだ。
「…はぁ…わけわからん。
もういい。私が直接レイに聞きに行ってくる。」
「ダメだ!待て!!」
五条に強く腕を掴まれる。
「っ!なぜだ?」
「お前が分かってないまま行ったら余計混乱させる。」
「なっ、はぁ?」
「あのー…2年の皆さん…
レイさんに何かあったのですか。」
七海が気がついたように声を発した。
そして硝子がため息混じりに答えた。
「まぁそう、そういうこと。
夏油がレイに酷いことをしたんだ。」
「っ!だから私はなんのことだかさっぱり」
「夏油さん…あなたは…」
七海まで顔を険しくし始め、完全に五条と硝子側へついてしまった。
「違うっ、私は、」
「あーそんっなにお前が分からねーならちゃんとハッキリと教えてやるよ!!」
五条がついに声を荒らげたかと思えば、ポケットから財布を取り出した。
そしてその中からある物を取り出し、狼狽している夏油に思い切り投げ付ける。
パシッと胸に当たってから床に落ちたそれを拾い上げた夏油は顔面蒼白になる。
「な……なん……っ…」
「もう分かっただろ傑!!
お前はそれを使ってなかったんだよな!!!」
灰原は目を丸くしながら夏油の手を覗き込んだ。
「えぇ?なんですかこれぇ?
あーもしかして…これ使うゲームなのに夏油さんがズルをして使わなかったとかそういうことですか?」
灰原だけは完全に蚊帳の外だった。
七海はこれでもかというほど目を見開き、全てを察したようだった。