第4章 bruise
同じ奴が背後からも来たのが分かり、レイは屋上に飛び移った。
夏油ともう1匹は空中戦になっている。
しかしやはり夏油といったところか、レイの援護をする呪霊を既にレイのそばにつかせていた。
「無理はするなよレイ!こっち片付けてすぐに行くからな!」
「必要ないよ傑!私にはこれがあるでしょ!」
そう叫んで自分の耳を指さす。
そこには夏油から貰ったルビーのピアス。
夏油は一瞬目を見開いたあと、ハハッと笑った。
「こっちの方が早く終わらせてやるからねっ!」
「じゃあ遅かった方は後で罰ゲームだ!いいな!」
何かを言い返す前に夏油は離れていってしまった。
こちらに危害が及ばないようにするためだろう。
好戦的な笑みを浮かべてからレイは勢いよく呪力を放ち金星を投げた。
まさに黄金の雷のような光が周りを囲み、呪霊の視力を僅かに奪った。
その隙に攻撃を仕掛けたのだが、準1級呪霊ともなれば簡単にはいかずにすぐさまそれが飲み込まれるようにして消えた。
「くそ!」
レイが近接戦に持ち込もうと蹴りあげる寸前で、飛び散ってきた四方八方からの刃をそばにいた夏油の呪霊が祓ってくれた。
「あ、ありがとう」
しかしそんな丁重に礼を述べている暇はなかった。
かなりの早技が次々と飛んでくるので土星を放ち土塵をカバーとして覆わせ、その上から水星を落とした。
それによって重い泥塗れになり、数秒動きを止めることができる。