第4章 bruise
「レイ、いたよ。やはり屋上だ。」
「わかった!じゃあ行こう!」
「待て。私の呪霊に乗って窓から行こう。それと、恐らく準1級が2体だ。」
「えっ」
レイを抱えあげて呪霊に乗せたあと、夏油もそれに乗りながら神妙な面持ちで言った。
「私が殺る。だからレイは手を出さないでくれ。」
「な、何言ってるの?!何もしないで見てろって言うの?!」
「そうだ。」
キッパリと言い放つ夏油を睨む。
確かに準1級相手は今の自分にとっては結構心細いのは確かだ。
でも2体となれば、いくら夏油でも1人でやらせるのは危険すぎる。
「傑…一体は私が相手になる」
「ダメだ。君の天王星の呪力でバリアを張っていてくれ」
天王星は気配を消しバリアを貼るいわば自分の内に貼る帳のような役割をする。
でもそれだと本当に自分だけ安全な場所で見学するだけの役立たずみたいだ。
「ねぇ傑!私はそんなに弱くないよ?」
「君だって、私を誰だと思ってるんだい?」
ニヤリと笑う夏油に、納得がいかないレイは尚も凄む。
「私にやらせてよ、お願い。それにちょっと試したいことだってあるの」
「ん?試したいこと?あーもう長話してる暇はないな、っ!」
その瞬間、そいつが飛んできて、夏油が呪霊を放ったのと同時にレイが天王星を投げた。
それによって、かろうじてバリアに当たったそいつは奇怪な羽を翻してさらに攻撃を仕掛けてきた。