第33章 perplexity
そして外へ出てほんの少しだけ歩いたところで、五条が声を上げた。
「お〜いたいた〜!
よしっ!今度はあいつにサプライズだ!」
「えぇ?また?てか、誰〜?」
指さしているのは1台の車。
「迎えに来てもらったの!こんな大荷物だし〜
さぁ、いいから!乗った乗った!」
少々不安を覚えながらも、五条によってなんの合図もなしに車の後部座席を開けられレイとクマは押し込まれた。
そして荷物とともに五条も乗り込む。
「ありがとね〜伊地知〜!
見ての通り大荷物でさ〜。とりあえず、
僕んちまで行ってもらえる〜?」
「あぁ、はい。わかり……」
伊地知同様、レイもクマも目を丸くする。
ハンドルを握っているのは、
さらに老けたように見えるが、間違いなく伊地知潔高。
伊地知は驚愕しすぎて声すら発せられないようで、
ガタガタと震え出した。
そこで、五条がニヤつきながら声を出す。
「レイちゃんと、クマくんでぇ〜す!
そして!高専補助監督の伊地知潔高くんで〜す!」
ハンドルを持つ手はまだ震えている。
そして見開いた目のままバックミラー越しに2人を凝視したままだ。
「へーきか?イジイジ野郎」
「ご、ごめんね、驚かせちゃって…
もう!悟!」
「え、なんで?
今度はちゃんと紹介したじゃん。」
「…わ、わ、私は……
ここに来る途中に…じ事故って、し、死んだ?
のでしょうか…」
やはり皆と同じセリフを吐くのだなと思いながら
クマはため息を吐く。
そしてひとまずざっくりとレイと五条が説明をした。
「ってことだからさぁ、急いでくれる?
てか運転できる?事故とか勘弁だよ」
「もお!その発言は勝手すぎるよ悟!」
こういうクズっぷりは相変わらずだなぁと思いながらも、なんとなく顔を綻ばせる。
あの頃と完全に別人になっていなくてよかった…
そうだったとしたら…どう接していいのかわからないから。