第33章 perplexity
「いっ、今まで!どこ!行ってたのっ!!
生きてるなら生きてるって連絡してよ!!
馬鹿!!!!」
その大声に、店内の客の視線が一斉に集まった。
「「し〜…」」
2人と1匹に口元に手を当てられ、口を噤むが涙が止まらない。
レイはハンカチを渡しながら言った。
「ごめんね。あのね……
私にとっては、本当に一瞬のことだったの。
みんなにとっての10年間が…」
本当に、何度考えてもわけわからないが、
事実らしいのでなんとも言えない。
五条が隣に腰かけ、一通り説明はしてくれた。
「ってことだからもう行くね!
僕たちめっちゃ忙しいんだっ!」
そう言って大量の荷物を持ったまま立ち上がった。
「はっ?!もう行くの?!
ならせめて抱き締めさせてよ!」
硝子はクマごとレイをキツく抱き締めた。
「………硝子…」
「うっ…ぐるじ…っ…」
「はー…この感じ…久々……。
あの時、守れなくてごめんね…
なんにもできなくて……。」
「…そっ、そんなことっ…」
硝子はゆっくりと体を離し、潤んだ瞳で笑いながらレイに言った。
「連絡先交換したことだし、いつでもなんでも言ってね。五条がなんかしてきたら殺してやるから、ちゃんと私に言って。少しでも困ったこととか何かあれば…なんでも…なんでもいいから…必ず連絡して。
クマ太郎もだよ。いいね?」
「ありがとう…わかった。」
「酒飲みに誘えよ、硝子」
クマの言葉には笑ってしまったが、硝子は大きく頷いた。
「毎晩誘うからな!」
「おう!」
「え…」
五条はそんな中、スマホで誰かを呼び出していた。