第33章 perplexity
硝子はこの日、五条に重大な話があると言われ、とあるカフェでタバコを吸って待っていた。
重大な話って何?
もしかしてあの宿儺の器に何かあったとか?
なんにせよ…
「おっせーな…」
このクソ忙しいときになんだよ…
と苛立ちながら、電話をかけようとした時だった。
カタン
「…ん?」
顔を上げて驚愕する。
目の前の席に腰掛けたのは…
「……あ、私どっかで死んだか。
ここ天国?」
「よお、硝子。久しぶりだな」
「……硝子…元気…だった?」
「・・・」
レイとクマだった。
目を見開いたまま、状況に困惑する。
「……はははは。
久しぶり〜。やっぱ私いつのまにか死んでたんだね。
よかったぁ、あんたたちに会えたってことはここは天国というわけか…」
棒読みでそう言うと、レイはあの時となんら変わらない笑みを向け、たちまち涙を滲ませた。
「……硝子…
随分と大人びて綺麗になったね…
会いたかったよ……」
「……え…
これ…リアル?」
レイが感極まって硝子の手を取ろうとした瞬間に、五条が登場した。
「はいはーい!感動の再会おめでとうっ!」
硝子がこれは現実だと理解できたのは、
自分に生暖かい涙が頬を伝っていることに気がついたからだ。
「どっ…どういうこと…なの…
レイっ……クマ太郎……!」
硝子の涙を見ながら、レイは逆に申し訳なくなってしまった。
「もう…悟がドッキリやりたいとか言うから…
こんなに動揺させちゃったじゃん…」
「だって僕がフツーに紹介したところで、
結局同じリアクションだったと思うし〜」
「・・・」
確かにそうだったかもしれないが…
当然、硝子の動揺ぶりは収まらなかった。