第4章 bruise
しかし途中からは準2級くらいの呪霊が多くなってきて、階級的には自分たちの方が上なのだが、いつの間にか近接戦になっていた。
夏油はもちろんかなり強い呪術師だが、どちらかというと近接戦はレイの方が向いている。
かなり前に2人の任務だった時も、そうやって手分けをしていた。
今回はなぜだか、離れるなと言われたが、その意味は分かってきていた。
さっきから来るたくさんの呪霊たちを操っているのは恐らくその頂点に立つ1級もしくは準1級の呪霊。
特級ということはさすがにない…と思いたいが。
とにかく離れてしまって夏油のいない間にレイの前にそれが来たら、間違いなく殺られてしまうだろう。
「惑星天衝呪法!業火!」
右耳に並べられているのは、
水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星のピアスたちだ。
呪力を流し込めばそれぞれの特性の攻撃を放つことができる。
今レイは火星を放ったことにより、目の前に迫ってきた数体の呪霊を一気に燃やすことができた。
近接戦では炎の威力が上がるので有利だ。
夏油の呪霊は屋上まで辿り着いたらしく、情報を感知するため戦いながらも顔色が変わりつつあった。