第33章 perplexity
「えっ、これ悟が作ったのー?
すごーい…」
そこにあったのは、綺麗に並べられた人数分の朝食。
ごはん、味噌汁、焼き魚、卵焼き、甘そうなジャム入りヨーグルトまである。
「定番の朝ごはんくらいは僕でも余裕で作れるよー?明日は洋食にするー?」
あの頃の五条は絶対に料理なんてできなかったはずなのに、10年会わない間にこんなにも成長していたのか?
そもそも自分は全然料理ができないから、これには素直にビックリした。
そのとき、虎杖が目を擦りながら起きてきた。
「おはよー……」
「遅いよ悠仁!
全く…寝起き悪いのが2人もいるとか、僕のモーニングルーティーンってほとんどそこに時間食っちゃうじゃん」
レイはその言葉に少しだけ冷静になる。
そもそもこの状況って奇妙すぎる…
宿儺の器であり、五条の生徒である虎杖悠仁に、まるでタイムスリップしたかのように突然蘇ってきた自分と、そしてクマという特級呪骸。
全くもって、奇妙としか言いようのない暮らしがスタートしている…
これは異常だしありえないし…
夢?とすら思えてくる。
いや、逆に夢である方が普通だ。
しかし考えても何も分からないし無駄だと思い、
レイはいただきますと手を合わせて食べ始めた。
「うん!美味しい〜!」
どれもこれも美味しくて目を輝かせる。
クマはあっという間に食べ終わり、テレビのニュースを観始めた。
随分と長いこと意識がなかったわけだし、近年の情勢や今までの出来事などが気になりすぎるらしい。
なんと新聞を読みながらテレビも観るという、クマにしかできない凄まじい情報処理能力で10年分のインプットに努めているようだ。