第33章 perplexity
まもなく指の棘が抜け、呪いが解けて目を覚ます。
双子は、「太陽」と「月」と名付けられた。
ターリアと関係をもった王は、自国から彼女の元へとやってきて、双子の誕生を喜んだ。
しかしここで問題となったのが、王には妻である王妃がいるということ。
王は自国に戻った後もターリアと双子のことを気にかけていたので、王妃がその存在に気付いてしまう。
嫉妬に狂った王妃は、王を装って「太陽」と「月」を呼び出し、そして双子を殺してスープにしようと命令をするが、双子に同情した料理長が子ヤギとすり替えて事なきをえる。
次に王妃は、ターリアを呼んで火あぶりにしようとするが、これは王にバレてしまう。
怒った王は王妃を火の中に投げ込み、殺した。
「How terrible! ちょっ…怖すぎだよ…ホントに原作?」
「なんだよ、ビビんなっつったじゃん!
そうだよ、これがホントの話。」
「ぜ、全然ロマンチックじゃないっ…
…Oh my goodness……。」
「やっぱ姫と王子が結ばれるハッピーエンドのほうがいい?」
「そりゃあ……もちろん…」
「ふっ、だよね。まぁこれって結局、一時の感情がきっかけでまさに命懸けのバトルが繰り広げられるってだけのホラーに聞こえるかもしんないけど、
でもさ、俺は思うんだよ…」
「…なに?」
「結局さ、どんなストーリーでも、姫は助かるわけだよ。
姫は、何があろうと必ず命懸けで守られてる。
つまり、行き着くところは同じってこと。
お姫様は、最後は絶対幸せになってる。」
「・・・」
そのあと、レイは何を考えてるのかしばらく黙っていたと思ったら、なんと寝息が聞こえてきて唖然とした。
「え……うそ?…こんなとこで寝んなよ、
マジで眠り姫かよ……」
お前を目覚めさせるには、
俺はストーリー通りにしたらいいわけ?
だから俺はそのとき……
今思うと、そん時の俺はマジでどうかしてた。
出会ったばっかのぜんっぜん知らねー奴にキスするとか正気の沙汰じゃねーよな。
気付かれなかったのが何よりの救い。
「本物の良い王子様を見つけろよ…お姫様。」
俺はこいつの旅を邪魔したくなくて、
その場に残して立ち去った。
後々それを物凄く後悔することになるとは知らずに。