第33章 perplexity
「……6…5…4……おいおいマジかー」
五条はクスクスと笑う。
規則正しく寝息を立てていて、完全に熟睡モードのように見える。
本当に起きなそう。
「……3…2……1……ハイぜろー。」
吸い寄せられるように唇を奪った。
しばらくそのままじっとしていたが、それでもなんの反応もないので、角度を変えて口の中に含むようなキスをする。
「……ん……ん…」
僅かにレイから吐息が漏れた。
ようやく呼吸が苦しいという違和感に気がついたのかもしれない。
……ばか。
心の中でそう言いながら五条は後頭部に手を滑らせて、グッと深くに唇を押し付けた。
「…?……?!…んっ!んんん!!!!」
レイの目が完全に覚めたようで、寝起きの全く力の籠らない腕で胸元を押してくる。
舌は入れていないものの、深くまで密封したような口付けに、息が苦しくなったようで、今度はバンバンと叩いてきた。
五条は仕方なく解放してやる。
「は。ようやくお目覚めかな?眠り姫?」
「っは!はぁ!はぁ…っ!なにすんの!バカ!」
「くくくく…何度も確認したよ?
それでも起きないからOKもらえたのかと思って」
「なにそれ?!わけわかんない!!
デリカシーないし人としてどうなの?!
普通に起こせばいいじゃん!」
「だから起こしたって、何度も何度も〜」
顔を真っ赤にして怒っているレイに対し、五条はケラケラと笑っている。
思えば、キスをしたのはこれで3回目だ。
唇以外には何度かされた気もする…
恋人でもないのに、五条が何を考えているのかが全くわからない。
いや、初めて会った時からずっと分からないけど。
でも、あの地面の文字…
"あなたのすべてを永遠に愛してる。"
それは私が傑に対してずっと思っていたこと。
悟は…私に…?
なんで…
あのときの悟の切なげに笑っていた表情を思い出すと、なぜだか胸が苦しくなる…
どういうつもりでそんなこと書いたの…
「はぁ…That doesn’t make sense…」
わけわからん…
レイは顔を隠すように口を拭きながらよろよろと布団を出ていった。