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walking proud~呪術廻戦~R18~

第32章 indifference


時が止まったように固まるレイに、五条は笑って言った。

「とりあえずさぁ、その制服着替えない?
またおまわりさんに怪しまれちゃうよ」

「……うん…」

「あとついでに必要なもの買ってこ。
パジャマと歯ブラシと〜…」

「ねぇ、悟…」

「うん?」

「私はこれから…どうしたらいい?」

レイは目隠しを差し出しながら目を合わせずに言った。
五条はそれを受け取ると、目に巻き付けた。

「…… レイはどうしたい?」

「わからないの……」

夏油傑がどこにもいなくなった今、レイは何がしたいのか、どう生きていけばいいのか、本気でわからなかった。
ずっと彼だけを指針に生きてきたのだということを、嫌という程思い知らされている気がした。


「…傑だったら、私にどうしろっていうかな…
結局私は…いつも傑のことばかりで、傑が人生の中心で…傑のことしか頭になくて……
結局…自分を持ってなかったって、今日分かった。」

傑、傑、ってうざい奴だよね私…

自分に呆れて、
自嘲気味に笑うことしかできない。



「焦らなくても別にいいよ。
無理に呪術師やれとか言わないし、言えない。」

でも・・・

「昔の正論ボーイの傑だったら、
迷わず呪術師やれって言うだろうね。」


レイは頷いた。

きっとそうだよね…
それに…私は傑に生かされたんだから…



「でも僕からも、これだけは言わせて」


五条はとても真剣な口調で真っ直ぐ見つめて言った。



「幸せになることを諦めんな。」




レイの中でそれは何度もリフレインされた。
かつて、どこかで誰かに同じことを言われたような気もした。



「うん……私の命は…また次の誰かに繋げるようにするよ。
生き抜くよ…最期まで……。」


五条は薄ら笑ってレイの手を取り立ち上がる。


「じゃ、行こう。
レイがレイでいられる場所へ」


ハッと目を見開く。


その言葉とその姿は、
紛れもなくかつての彼を思い起こさせた。

そして背景も、あのときと同じ星空に、綺麗な月が輝いていた。
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