第32章 indifference
「ね、レイ…」
「…なに?」
五条の懐かしくて甘いいい香りがする。
頭に手が何度も滑り、耳に吐息がかかった気がした。
「………きだ。」
「…え?」
「・・・」
「なに?ごめん、聞こえなかったよ、
もう一度言って?」
五条は何も言わない。
視覚も遮られていて不安が襲う。
「…なに?」
「…なんでもなーい。」
「は、はぁ?またそうやって気になる所で…」
「わかった、じゃー…そのままちょっとまってて…」
そう言って五条は体を離した。
何か音がする気がするが、レイは黙ったままジッとしていた。
「よし… レイ目隠し取っていいよ」
言われた通り目隠しを取ると、そこには先程と全く同じように五条がいるだけで何も変化はない。
首を傾げていると、五条はフッと笑って足元を指した。
足元を見ると、地面に何かが書いてあった。
「あ、い……っ…え?……」
"I love you"
確実にそう書かれている。
レイは一気に顔が熱くなる。
どういうつもりなの?
こんな…映画でしか聞いたことも見た事もないような文字…
ていうか…
「なんっ…で…?」
「1回これ書いてみたかったんだよねぇ〜」
五条は屈託のない笑みで笑っている。
からかっているだけだろうか?
だとしたらこういうからかい方はなんだか居心地が悪い。
ならばこちらもからかってやろうとレイは思った。
「こんなありふれた言葉じゃ…わかんないよ。
もっと詳しく書いてよ。」
すると五条はフッと口角を上げて、youの部分をザッと足で消し、その後にまた何かを書いていった。
「これでどう?」
「……っ……」
言葉に詰まり、目を見開いた。
I love everything about you.
「あ」
思い出したようにまた五条はyouの後ろに何かを付け加えた。
「…っっ…………」
I love everything about you forever
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