第32章 indifference
五条の家のリビングのソファーで、クマ含めて一先ずいちごミルクを飲む。
虎杖は七海との任務で今日は帰ってこないらしい。
連絡によると、特級呪霊によって何人もの人間が変形させられていた上に、死者を出してしまったそうだ。
しかし、七海がついていれば、恐らくはどうにかなるだろうと五条は踏んだ。
もしものことがあればすぐに自分がクマと共に行けば…
「で…僕、思ったんだけどさ…」
五条から口を開いた。
"僕"という一人称と、昔よりも随分と落ち着いている態度に、レイはまだまだ違和感に慣れない。
「僕が去年担任をしていたクラスメイトに、乙骨憂太ってのがいるんだけど…その子と同じような類かな、と思うんだよね。」
「…え?…どういうこと?」
その後、乙骨憂太という人物についての経緯を聞いた。
実は里香が乙骨を呪っていたのではなく、里香の死を拒んだ乙骨が里香を呪っていたこと。
乙骨憂太は菅原道真の系譜であるため、乙骨の呪いは非常に強いものだった。
呪いをかけた本人である乙骨が主従制約を破棄し、呪いをかけられた里香も乙骨へのペナルティを望んでいなかったため、里香を解呪する結果に。
「そ…それって…つまり…」
「…うん、ごめん……
僕はその日、傑を…殺したんだ…」
その瞬間、
レイは時が止まったように動かなくなった。