第4章 bruise
着いたところは想像以上に薄気味悪い建物だった。
まだ昼間だというのにこの空間だけ深夜のように黒いオーラに囲まれている。
そして着いた瞬間からやはりたどたどしい呪力を感じる。
「入口はあちらです。では帳を下ろしますね」
そう言って森さんは早々に帳を下ろした。
「何かあったら下手に動かず連絡を。それが叶わない場合は必ず何かしらの合図を放ってください。…ご武運を。」
「じゃあ行こうかレイ。とっとと片付けよう」
「うん。なんか…思ってたよりも多くいそうだね…手分けする?」
「その必要はない。何があっても私から離れないでくれ」
そう言って手を引く夏油の後を追いながらもう片方の手で構えるように耳に触れる。
建物に入り奥に進むにつれ、なんとなく分かってきた。
ここ1階にはなにもいない。
恐らく始まるのは2階から上だろうと。
こんなふうに手を繋いでいる状況だけど、もちろん遊園地のお化け屋敷に来たみたいな感覚には到底なれない。
神妙な面持ちで五感を研ぎ澄ませた。