第32章 indifference
そして、高専につくやいなや、
1人の男子に話しかけられた。
「…あんた、誰?」
黒髪で色白、そして高専の制服を着ている。
けれど…見たことがない。
「え……あなたこそ、誰?
転校生かな?」
「……はぁ?」
男子生徒は怪訝な顔つきをした。
「や…俺は伏黒恵だけど。高専1年の。
あんたの名前は?
まさか京都校と間違えてる?ここ東京校だけど。」
「えぇっ!間違えてないよ。
私、今任務から帰ってきたの。
高専3年の神無月レイだよ」
伏黒は更に眉間に皺を寄せた。
あのテキトーな五条先生のことだから、
また説明不足で任務に出しておきながら、この転校生をこれから高専に案内する手筈だったかも?
この子は高専のことを何も知らされていない?
いつの間にか五条先生によって勝手に入学済にされていた?
あの人のことだから、何がどう噛み合ってなくても別に不思議じゃない。
伏黒はウンザリ気味に頭をかいた。
確かにこの人…
妙な呪力を感じる。
「…先輩、あなた何級ですか?」
「え?…1級だけど…。」
1級?!?!
多分、話が噛み合わないのも、自分たちが知らされてないのも、全て五条先生による説明不足が原因。
そう伏黒は結論づけた。
「……とりあえず、行きましょうか。
夜蛾学長のところへ。」
「…学長?!」
さっきからずっと不安の表情を滲ませていたレイが、突然驚いた表情になるので、何にそんなに驚いたのかすらもよく分からない。
「…五条先生には俺から電話し…!?
ちょっと?!大丈夫ですか?!」
突然レイがぐらつき、それを伏黒が急いで支えた。
何度も呼びかけるが、貧血か疲労か…よく分からないが、彼女はたちまち意識を失った。