第31章 usurp 【番外編】
ぐわんっと一気に自分の位置が高くなり、さすが190cmの高身長だと思った。
こんなに自分の目線が高くなったのは初めてで目を見開く。
「すご〜い!なんか楽しい〜!!」
「あー、助かった、軽くって。」
「五条くん!あっちあっち!」
「はぁ?どこだよあっちって」
「右!……あ、もうちょい左だよっ!
そこそこ!ストップ!」
「もぉ〜…」
そんなことをひたすら繰り返していると、キャッキャと声が廊下まで漏れていたのか、夏油が入ってきた。
そして当然その光景には驚愕の表情を浮べる。
「な…にを…しているんだ?」
「あ〜夏油くん!本を探すのを手伝ってもらってるんだ〜」
「傑〜、お前そろそろ変わってくんねぇ?
軽いから疲れはしないけどチビにこき使われすぎてて流石にうざくなってきたわ〜」
「なにそれ酷いっ!提案したのは五条くんじゃん」
「だってあの抱え方の方がやりづれぇからしゃーないだろ」
そのやり取りに、夏油は不機嫌そうに腕を組む。
それに気がついたように五条が言った。
「あ〜ほらぁ〜!レイのせいで傑がキレてんじゃん〜」
「えっ…なんでっ」
レイが視線を移すと、明らかに不機嫌そうな夏油がこちらを睨んでいた。
それと同時にストンと五条がレイを下ろす。
「あ〜逃げよ逃げよっ!
マジで俺のせいじゃねーかんなっ!」
ニヤニヤ笑いながら五条は出ていってしまった。
レイはなぜ夏油がそんな表情をしているのか分からず、ひとまず本をまとめながら声をかける。
「あのー…夏油くん?」
夏油はため息を吐いたかと思えばつかつかと近づいてきた。