第31章 usurp 【番外編】
しかしその瞬間、ひょいっと体を持ち上げられた。
「っわ!!ちょっと!!」
「危ねーんだよさっきから。
ほら早く取れ。」
おずおずと本を取り、床に下ろされる。
「あー…ありがと。」
一瞬のことすぎて、本を持ったままポカンとする。
「にしてもお前って軽いなぁ〜」
「そ、そう…?
…まぁ重いって言ってたらビンタしてたよ」
「なっ、せっかく手伝ってやったのにひっど!」
レイはクスクスと笑ったあと、思いついたように言った。
「あ!そうそう!ついでにさぁ、あそこにある本も取りたいから手伝ってくれない?」
「はぁ?また高い位置にあんの?」
「そーなんだよー…届かなくて」
レイがその場所に案内すると、また五条が脇を持ち上げた。
その本をレイが取りながら、あ!と声を出した。
「え、なに?」
「ちょっとそのままストップ!」
レイはちょうどその目線にまた気になる本を見つけてしまい、取っては戻し、取っては戻しを繰り返し始めた。
「……ちょっとお嬢様?
俺さぁそろそろ腕疲れてきたんだけど?」
「んーごめん、もうちょっと待って。
えーっと…これ、と、……っわ!!」
突然床に下ろされた。
「もー、ちょっと待ってって言ったじゃん!
まだ見てたのに!」
「ちげーよ、腕ダルくなるから体勢を変える。」
そう言って五条がしゃがみ、自分のうなじをトントン叩いた。
「ほらここに乗って。」
「え」
「肩に脚かけろってこと。」
あぁ、肩車か、なるほど。
これならこっちも本を探しやすい。
そう思ってレイは1度本を置くと、ゆっくりと跨った。