第31章 usurp 【番外編】
ver③
レイは、図書室にいた。
どうしても取りたい本があるのだが、身長的に、背伸びをしてもあと少しというところでその本が取れない。
「んんー…っ…んぁうーっ…」
指は触れているのに、それが悔しくてひたすら背伸びをしていた。
「…うー…あと…ちょっ…と……」
「なにしてんのー?」
突然背後から声がしてバッと振り返る。
「びっくりした!五条くんっ!」
五条は意地悪そうな笑みを浮かべている。
「レイのエロい呻き声が聞こえてきたからさー」
その言葉に、レイは一瞬ドキリとしたが、すぐにムッとした表情になり、無視してまた背伸びをして本を取ろうとした。
「なるほどぉ〜それが取れないわけね。
かわいそ〜。レイチビだもんねぇー」
「べ、別にそこまで低くないし。
五条くんが高すぎるだけでしょ」
五条は身長が190もある。
彼にバカにされるのは癪だ。
「しゃーないな、とってあげよーか?」
「いっ、いい!なんか!もー少しなのに!
取れないのが!ムカつくのーっ!!…くっ…」
「…んだそれぇ。馬鹿なチビ。」
ひたすら必死になっているレイにため息を吐いたあと、五条は机に座りながらバカにしたように笑ってその光景を見つめ続ける。
「うーっ…悔しいー…っ」
「なぁなぁ、無理だと思うよー?」
「んなことっ!ないっ!
ほらっ!あと少しぃーっ!」
指でなんとか少しずつずらすことができていた。