第31章 usurp 【番外編】
「え、傑、なにお前?あーして全部いちいち報告させてるわけ?」
「当たり前だろう?私がついてない間に何かあったら大変だ……んん?なんだ、あまり駅近じゃないじゃないか…」
夏油はなんと、今聞いた店を検索し、Googleマップまで開いていた。
五条はそれを覗き込みながら引きつった表情になる。
「げぇー…マジかよ。どんだけ束縛男?
嫌われるよ傑〜」
「ははは、まさか。レイは私のことが好きだし、私だって彼女のことが好きなんだから、このくらいのことでそれはないだろ。」
笑いながら地図を細かく確認しまくっている夏油に、五条は盛大にため息を吐く。
「その発言さぁ、俺にじゃなくてレイに直接言ってやれよ。つーかいい加減そろそろお前らくっつけ。」
その言葉を無視して夏油はハッと顔を上げ、自分の小さな呪霊を引き出した。
その呪霊はビュンとすごい勢いでレイが去っていった廊下へと追いかけるようにして飛んで行った。
「………え、何してんの?」
「何って護身用だよ。呪霊一体くらいはつけておかないと」
「うっえ!嘘だろー?!キモすぎだよお前!」
「何言ってる。こないだだって、硝子に合コン連れられてレイが大変な目にあっただろ?あの時だってレイが私に逐一連絡してなかったら下衆男に攫われていたわけだし。全て万が一のことを考えての行動だよ。」
「わかったわかった。はぁぁー…
じゃーまたそういう下衆男が現れたとしたら、その呪霊は何してくれるわけぇー?」
呆れたようなその言葉に、夏油はスマホを持ったまま目を細め、薄らと口角を上げた。
「んー……殺してしまうかもね…」
その笑みが不気味すぎて、五条は引きつった顔のままゴクリと生唾を飲み込んだ。