第30章 reunion
そして、適当に選んだ映画をとりあえずつけた。
数分ボーッとそれを眺めていたが、虎杖もクマも、先程のこともあってかほとんど観ているようで観ていない。
「なー、クマぁー、
正しい死って、なにかな?」
「…あ?」
「こないだの任務でさ…人が死んでて…助けられなかった上に、俺も死んで…それより前に爺ちゃんも死んだばっかしでさ。
なんかー…わかんなくなってきたんだ。」
クマは短く息を吐いた。
そして自分の首にかけてあるものにようやく気がついたかのようにそれを触りながら言った。
「死というもんは、実は人間にとって…最大の祝福かもしれねぇ。死ぬよりも、生きているほうがよっぽど辛いときが何度もあんだろ。人間は、みんなに愛されているうちに消えるのが一番だ。」
その言葉に、虎杖は俯いて拳を握った。
「うぬぼれてた、俺は強いと思ってた。死に時を選べるくらいには、強いと思ってたんだ。でも違った。俺は……弱い。」
「なぜそんなに死に執着してる?
なぜ生については考えない?」
「…考えてないわけじゃない。
ただ…怖いんだ。俺自身のことだけじゃなくて、俺の周りの人たちも、その人たちの大切な人たちだって…みんな……死に様くらいは選」
「死を恐れることは、自分が賢くもないのに賢いと思うことと同じだ。生きるための唯一の方法は、自分がいつか死ぬことを忘れることだ。
だからそーいったことは忘れてただ強くなることだけに執着しろ。死に執着すんな。」
クマは仏頂面で言葉を被せた。
なぜ人間はこんなにも何かを恐れ、深く考え、ちょっとしたきっかけがなにかしらんが、絶望する?
つくづく弱くてうんざりする。
「死が訪れた時に死ぬのはお前なんだ。
だからお前の好きに生きりゃいーだろーが。
死の恐怖は、解決されない生の矛盾の意識にすぎない。」
クマはキッパリそう言っていちごミルクを吸った。