第30章 reunion
「で、突然口挟んできてなんかおいらに用か?」
『ククク…用はない。
千年もの間、退屈していたんだ。ただの退屈しのぎ。お前のような希有な存在に少し興味を持っただけ。くだらん映画にも飽きていたところだ』
「っな?!お前観てたのかよ?!」
「おいらに興味を持ってもなんも面白ぇことはねぇと思うが」
「いやかなり面白いと思うよ?!」
虎杖のツッコミは全てシカトされている。
『小僧の中からたまに外の世界を覗くが…良い時代になってきておるなぁ。』
クマの眉間が寄りだす。
「……何がしたい」
『お前も、この小僧も、
呪いの何たるかを、まるで分かっていないな。』
宿儺は底意地悪く嘲笑っている。
『俺には俺の計画がある…
それに必要の無いものは全て、心底どうでもいい。
ただ今は、興味の対象が増えそうだ…ククククク…』
虎杖の頬は、ただの溝に変わった。
「はー、なんだったんだよこいつ!」
「…てめぇ指なんか食ってよく正気だったな。
フツーだったら舐めた瞬間にでも死ぬだろう。」
「んー、まー、五条先生が言うには俺が千年に一度の特異体質らしくって、指飲み込んじまっても死ななかった上に、こないだなんて死んでも生き返ったんだよね。まぁこいつの気まぐれかもって話だけど…」
その時、クマの目付きが変わった。
「…誰かいたか?」
「…へ?」
「お前が死ぬ間際、誰かいたかって聞いてんだよ」
「…あー、いたよ。
同級生の、伏黒恵。……それが何?」
クマは何も言わずに考え込むように黙りこくった。
虎杖は訝しげにしながらもDVDを漁り出す。
「とにかく仕切りなおそっ。
まだまだ観なくちゃならないのいっぱいあるし。
あ、蹴りとパンチは手加減ありきで頼むよっ!」