第29章 intention
俺は殺した。
親友のまま殺せた。
この手で…。
「……まだ笑ってんのかよ…」
夏油の亡骸の前にしゃがみこみ、
血まみれの冷たい手に触れる。
そして、ハッと目を見開いた。
自分の手首にもあるミサンガが、夏油の手首でちぎれている。
埋め込まれていた水晶は割れていた。
「……お前が傷つかない世界を、俺が作るよ。
だからさ……」
五条は夏油の肩に自分の上着をかけながら言った。
「だから、もしも生まれ変わったら、
その世界で一緒にまた笑おうぜ……」
自分で選んだ死に方で死ぬんだ。
今度こそ。
死ぬまで生きて、
今度こそまたみんなで
心の底から笑おう。
「またな…
暖かくして寝ろよ…傑…
おやすみ…」
天国で待ってろよ。
レイと。
俺との最後の
約束だ。
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