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walking proud~呪術廻戦~R18~

第29章 intention



優しさに甘やかされていた。


ああすれば良かった

ああ言えば良かった


何度繰り返しても

時間は戻らない




確かに世界は暗闇で

ろくでもないことばっかだよ


けど、


それでも…



あの瞬間、

俺たちは

確かにあそこにいた





あの時間が俺は




大好きだった。







「なぁ、傑。
俺さ、お前に出会えてホントによかったよ」


「…ふ……なんだよ急に…」


「いつも俺のそばに傑がいてくれて…
ホントに…嬉しかったって言いてぇんだよ」


「は……君がまともなことを言っていると…
調子が狂うよ…」


「ひでぇな…本音だよ。」




夏油の髪があのころよりかなり伸びている。

そうやって伸ばしてたのも
ハーフアップにしてたのも

どうせあれだろ。


あの頃そう、言われたからだろ。



レイが何気なく言った一言でも
それは全部、
そうやってお前にとっての呪いになってんだよな





「あぁ、そうだこれ…
返しといてくれ。」


そう言って夏油が寄越したのは、乙骨が小学校の任務で無くしたはずの学生証だった。


「……やっぱ小学校もお前の仕業だったのか…
呆れた奴だな…」


どうせ知ってたんだろ。
あの小学校でレイが殺られたこと。







「何か…言い残すことはあるか?」



ここで、俺が傑を殺さなきゃいけない。

他の誰にも殺させない。

こいつは俺が殺る。


覚悟はとうにできてる…


あの日から…


ずっと…


心に決めてきたこと……





「誰がなんと言おうと、非術師は嫌いだ…
でも別に、高専の連中まで憎かったわけじゃない…」


夏油は視線を落としたまま静かに言った。


「ただ…この世界では…
私は心の底から笑えなかった…」




五条はうっすら笑った。


「…嘘をつくなよ。
やっぱりお前って、あの頃と変わらず
嘘も冗談も、センスねーな…」


どう考えても、あれは心の底から笑ってただろ。
いっぱい。
とくに、あいつといる時なんかは…。

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