第28章 cause
「非術師を皆殺しにして、呪術師だけの世界を作るんだ。」
さぞ当たり前のように朗らかに言う夏油の言葉に、皆が目を見開く。
なにを…
言ってんだ?
「僕の生徒にイカれた思想を吹き込まないでもらおうか」
突然現れた五条に、夏油は満面の笑みになる。
「悟〜、久しいね?」
「まずその子たちから離れろ、傑。」
夏油は乙骨の肩に腕をかけたまま冷徹な笑みを浮かべた。
「今年の1年は粒揃いと聞いたが…なるほど?
君の受け持ちか、悟。
…特級被呪者、突然変異呪骸、呪言師の末裔、
そして………」
夏油は禪院真希を冷ややかに見下ろし口角を上げる。
「禪院家の落ちこぼれ、か…」
「…て、めぇ!!」
「発言には気をつけろ。
君のような猿は私の世界にはいらないんだから。」
バシッ!
乙骨が夏油の腕を叩き下ろした。
「ごめんなさい…夏油さんの言っていることはまだよく分かりませんけど…
友達を侮辱する人の手伝いは僕にはできないっ!」
夏油は再度作り笑いを浮かべる。
「ふ…すまない。君を不快にさせるつもりはなかった」
「じゃあ一体どういうつもりでここへ来た」
瞬時に割って入ったのは五条だった。
こんなに近くで互いの顔を付き合わせるのはあまりに久しぶりのこと。
真顔の五条に対し、夏油は笑みを浮かべている。
かつての傑の顔じゃない…
完全にイッちまってる…
しかも異様なテンションの高さ…
「宣戦布告さ…」
その後の話に、場が凍りついた。
新宿と京都にて、千の呪いを放ち、鏖殺…
百鬼夜行を行うと宣言した。