第28章 cause
「夏油様、幹部が揃いました。
ミーティングルームへ……って…
なにをなさっているのです?」
夏油はスプレーを身体中に吹きかけている。
「除菌消臭だよ。先程まで猿の呪霊を祓ってやってたのさ。皆に猿の臭いが移るといけないだろう?」
「なるほどです!」
秘書の女はにこやかにその姿を見守る。
「嬉しいなぁ。いつぶりかな、全員集合は…
そうだ、久しぶりに皆で写真を撮ろう。
一眼どこだっけ?」
「こちらに!」
用意の良い秘書はしっかりと一眼を持っていた。
すると、ドタバタと足音が迫ってくる。
「夏油ぉぉ!!貴様ぁぁ!!」
「ん?これはこれは、金森さん。
そんなに慌ててどうされました?」
「とぼけるな!!早く儂の呪いを祓え!!
お前にいくら払ったと思ってる!!」
夏油は冷静沈着な態度で秘書に視線を移す。
「いくら?」
秘書はもう既にiPadで確認していた。
「ざっと1億とんで、500万ですね。
しかしここ半年間の寄付はありません。」
「あーあ。もう限界かな。」
そのやり取りに、金森は目を見張る。
「なにを…言って……」
「猿にはね、それぞれ役割があります。
金を集める猿と、呪いを集める猿。
あなたは前者。お金が無いなら用済みです。」
にっこり笑ってそう言う夏油の呪霊によって、
金森はたちまちグチャグチャになった。
秘書は呆れたような顔でそれを見下ろしながら言った。
「はぁ、穢らわしい。
本当に同じ人間ですか?」
「だから言っているだろう。
非術師は猿だ。」