第3章 comrade
もちろん高専に帰ってから夜蛾のゲンコツは五条に落とされた。
けれど大量のお土産によって気を取り直してくれたよう。
「次の任務は2人1組で行ってもらう。
組み合わせは、五条と家入、夏油と神無月
いいな?」
「えぇー?!もう?!え、ちょっとちょっと先生俺らさぁ長旅で疲れてんだよねぇ、もっといたわっ」
「おい悟。その発言は不謹慎すぎるぞ」
夏油によって一喝された。
呪術は非術師を助けるためにある。
1人でも多く、より早く救いたいという彼の考え方は至極真っ当な呪術師の鏡だ。
五条は何も言えなくなった代わりに不貞腐れたように大きくため息を吐いた。
「なんだ、悟?組み合わせに不満でもあるのか?」
「ああ。大アリだね」
「なに?」
夜蛾はまさか即答されるとは思っていなかったのか、顔を顰めた。
「あんま組んだことがないレイがいーなー。」
全員が目を見開く。
今まで2度だけ組んだことはあるが、呪術のバランスと相性の関係があるので、夜蛾の指示するペアには皆いつも何も言わずに従ってきた。
相性が悪い訳では無いのだが、互いに思うように動けない節があり、あまり五条とレイのペアにはならなかったのだ。
毎回あまりやる気のない五条から、今回そんな希望が出てくるとは思わなかった。
「えー?ダメなのー?」
「ふーむ、まぁ決定事項というわけではないが…。
傑、神無月、どうする?」
「ダメだ。譲る気は無い。」
そう即答したのは夏油。
辛辣な顔を浮かべて強くそう言い放った。
なんとなくピリピリした雰囲気になり、五条の鋭い目付きが夏油に突き刺さる。