第26章 distortion
「元気、出さなきゃな〜
じゃないと、僕らしくないよねっ…」
ピッ
テレビをつける。
ピッ、ピッ、ピッ、
どれも暗いニュースばかりだ。
こんな世の中なんだから、仕方ねぇよな…
そう思ってため息をつく。
"君のその六眼には、
この世界がどう映っているんだい?"
"君の眼はやはり…ただのイミテーションか?"
"君は、五条悟だから最強なのか?
最強だから、五条悟なのか?"
「なぁ、クマぁ〜…
僕ってなにもん?ポケモン?
お前みたいに…」
そう言ってチャンネルを変えた時、
とある音楽番組になった。
〜♪
君が涙のときには 僕はポプラの枝になる
孤独な人につけこむようなことは言えなくて
君を泣かせたあいつの正体を僕は知ってた
ひきとめた僕を君は振りはらった遠い夜
「……よせよ…今…こんなん…」
ここにいるよ 愛はまだ
ここにいるよ いつまでも
空と君とのあいだには今日も冷たい雨が降る
君が笑ってくれるなら僕は悪にでもなる
五条は目を見開いてリモコンを持ったまま、
微動だにできないでいた。
回したいのに、なぜか指が動かない。