第26章 distortion
それは五条の一言から始まった。
「午後の呪術実習は、2-2のペアでやるよんっ。
棘&パンダペア、真希&憂太ペアねっ。」
真希はあからさまに嫌な顔をし、乙骨は顔を強ばらせる。
「よ…よろしくお願い…します…」
「お前虐められてたろ。分かるわぁ。私でも虐める。」
「……っ…」
「呪いのせいか?善人ですってセルフプロデュースが顔に出てるぞ。気持ち悪ぃ。…なんで守られてるくせに被害者ヅラしてんだよ。」
真希の容赦ない言葉に、図星な乙骨は目を見開いて押し黙る。
その様子に、彼女は目を細める。
「ずっと受け身で生きてきたんだろ。なんの目的もなくやってられるほど呪術高専は甘くねぇぞ。」
「真希!それくらいにしろぉ!」
「おかか!」
パンダと棘の鋭い表情に、真希は苦い顔をする。
「…すまんな。あいつは少々他人を理解した気になるところがある。」
パンダが乙骨の肩に手を置いて言った。
しかし乙骨は俯いて少し微笑んだ。
「…いいんだ…本当のことだから。」