第3章 comrade
「で、悟は…まだ食べるわけ?」
「うん、ねぇレイはどれ優勝だと思う?俺はやっぱこれかなぁ〜まぁこれも捨て難いけどー」
勝手につけたランキング1位は意外にも、なんとか饅頭らしい。
「私はー…これかなぁ」
一応選んだ私のお気に入りはバウムクーヘン。
これは本当に美味しかった。
五条ほどではないが、元々甘いものは大好きだ。
「じゃーもっと買っとけばよかったね」
「いやさすがに充分だよ」
紙袋の中にはまだまだいろいろと入っている。
「ところで悟、ずっと聞きたかったんだけど、傑とはなにか仲良くなるきっかけとか、共通点とかあったの?」
突然の問いかけに五条は一瞬手を止めたかと思えばまた菓子を齧りだした。
「ねぇよ?そんなの。」
「え?でも凄く仲がいいから。」
「仲が良い、ねぇ…まぁそうなのかな。単純に一緒にいると楽なんだよ。互いの足りないピースが嵌め込まれて、二人でいると完全体になれている気がして。」
完全…
夏油が言っていた言葉を思い出す。
"自分の力じゃ絶対に埋められない不完全な部分がある。それはきっと、自分以外の誰かの力が必要なのさ。だから完璧な何かはこの世に1つも存在していない。…あの五条悟だってそうだろう?"
「あぁ、そっか…なんかいいね、そういう関係って。」
「俺から言わせれば、お前ら2人だってそういう関係に見えるけど?」
その言葉にハッとする。
思わずルビーのピアスを指で摘んだ。
"ルビーには、勇気や情熱っていう宝石言葉があるんだ。不完全なレイが、より完璧に近づくためにそれを渡したっていうのもある。"