第3章 comrade
「ちょっとなに妄想してんの?」
硝子がコソッと耳元で言うので危うく持っていた菓子を落としそうになりながら、首を振った。
恐る恐る五条を見ると、いろいろと食い漁りながら、一人でランキング付をしている。
夏油はもう菓子はいらないとばかりにおしぼりで手を拭きながら呆れたように袋にゴミを入れている。
昨夜の口論もそうだが、中身は正反対とも取れるこの2人は一体どんな繋がりの部分で仲良くなり親友と呼び合うようになったのだろうか?
共通点は、見た目が不良な部分だけ?だろうか。
そんなことを考えていると、夏油に腰を引き寄せられた。
「眠くないか?レイ。無理に悟の菓子パーティーに付き合ってあげる必要はないよ。」
「え、あぁー。眠くはないよ。逆に頭が冴えちゃってて…」
あなたのせいでね…
とは言えない。
「そう?ちなみに私は眠い。」
そう言ってあくびをする夏油が可愛くて顔をほころばせる。
糖分が頭に回ったからか、硝子もなんだかんだ言って目を虚ろにし船を漕ぎ始めた。
「寝ていいよ?今度は私が肩を貸す番。」
行きでは自分が夏油の肩を借りて寝てしまっていたから、帰りはその逆を経験してみたいと思った。
すると夏油は素直に肩に頭を乗せて深く深呼吸したかと思えば暫くして寝息を立て始めたのが分かった。