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walking proud~呪術廻戦~R18~

第23章 cruelty


見たこともないその表情に、目を見開いた。

そして、たまらず抱きしめる。


「…… レイ…?」

「悟…ごめん…」


五条は驚いたように目を見開いていたが、瞼を閉じ、ゆっくりとその身体に腕を回した。

こないだのあの雑踏の中でしたのと同じように、頭をグッと引き寄せる。


たちまちまた、あの時みたいな嗚咽が聞こえてきた。


「…ごめん…やっぱり私、辛くて…
辛くて辛くて、しょうがないの…っ…
死にたい…くらいに……」


「…んな事言うな」


「……もうっ…おかしくなりそうな…くらいに…
息が…っ、苦しい…っ…
生きてたくないっ…の…」


「………」


五条は目を瞑ったまま更に強く抱き締めた。


「私やっぱ…弱すぎる…っ、よね…
捨てられたこと…受け止めきれなくてっ…
いつまでもっ…ひ、引きづっ…てて…っ」


一生懸命、吐露する弱音に、ジッと耳を澄ませる。


「おかしい…っ、よねっ…
こっ、こんなことで…すごくっ…
消えちゃいたいくらいっ…にっ…
絶望的にっ…なってるなん…てっ……」


「おかしくない……
レイがどれだけ、
あいつのこと好きだったのか…分かってる。」


夏油傑は彼女の全てだった。
彼女の生命そのものだった。
彼女は夏油傑という男のために存在しているというくらいだった。

そんな男に、半ば捨てられるような形で別れて…

どれだけ辛いか…

死にたくなる気持ち
消えたくなる気持ち
生きてたくない気持ち

そうなることは当然だろう。

そのくらい、レイは夏油傑という一人の男を愛していた。





"怖いんだ…こんなにこんなに…
どこまでも幸せな日常がいつか、
…壊れちゃうんじゃないかって……"


初めて彼女の涙を見た時、こう言っていた。
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