第23章 cruelty
「……私…今…すごく…っ
ずるいことっ…してる……」
人の温もりが欲しくて
少しでも慰めが欲しくて…
「…してない」
「してる…」
「してない。だって、俺は……」
そう、俺はもうずっっと前から…
「…俺は……レイの…
空…なんだぞ…」
"心に余裕がある時に空を見上げるんじゃないよ?空を見るから心に余裕ができるんだよ。"
"空を見上げるとさー、全ては繋がってるって実感できるんだよね。空は何があってもどこへ行っても一緒にいてくれる。いつだって味方になってくれる"
「なぁ、レイ……俺…
あん時の言葉…一言一句、忘れてねーからな…」
レイの泣き声が大きくなった。
「いい…もっと泣け……
ずっと俺が…聞いててやる…」
震えている背中を撫で、頭を撫でる。
「…ずっと俺は…味方でいる。何があっても…
どこにいようと……ずっと一緒にいる…
また別の男が見つかっても…それでも俺は…
レイの、空でいる……」
寂しい時、悲しい時、辛い時、苦しい時…
楽しい時も、嬉しい時も、
ずっと、俺がそばで見てる。
その声を聞いてる。
その心を支える…
だから…
「生きてくれ。レイ。」
ヒュッと息を飲む音が聞こえ、嗚咽が止まった。
まだ小刻みに震えている、
その小さな体をゆっくりと離す。
そして、僅かに揺れているその唇にキスをした。
レイの閉じられた目からは
また涙が零れ落ち、頬に触れていた五条の指を濡らした。