第3章 comrade
一足先に冥冥と歌姫は帰ったらしい。
4人は来た時と同じように向かい合わせに座り、五条が広げる菓子を食べている。
意外にも、食べ始めたらどれも美味しくて止まらなくなってしまった。
「ところで硝子、昨夜はちゃんと眠れたの?」
五条と同室にさせてしまったことをレイはずっと気にかけていた。
この五条と一緒だったなんて、なかなか眠りにつけなかったかもしれない。
「あー、それがさぁ〜お互い疲れてたからか、気が付かないうちに朝になってたのよ〜」
バリバリとうなぎパイを頬張りながら何食わぬ顔で言う硝子。
嘘ではないっぽい。
「そ、そう…ならよかったよ」
「それよりそっちは?寝不足だったら今寝た方が」
「ぜんっぜん寝不足じゃないよ!」
被せるように言ったレイに、フッと鼻で笑う五条。
でも本当に寝不足ではない。
昨夜は夏油の腕の中でいつの間にか心地よく眠ってしまっていて、気がついたら朝だった。
そして目が覚めた時、裸の夏油がこちらを向いて安らかな寝息を立てていた。
まさにドラマでしか見た事のない光景に胸が高鳴ったのを覚えている。
夏油の長い髪をとかし、こっそりと唇にキスをした。
唇を離した瞬間に彼の目が開いていてビックリしたのも、ドラマでしか見たことのない光景だったからだ。
「煽るのがうまいな…」
そんなふうに優しく笑われて、また唇を奪われて…
このまま襲ってほしいなんて思ったけれど、それは叶わなかった。