第23章 cruelty
「火、いるかい?」
街の とある喫煙所、硝子は声をかけてきたその人物に目を見張った。
「……犯罪者じゃん。」
夏油はいつもと何ら変わらない朗らかな笑みを浮かべたまま、硝子のタバコに火をつけた。
「一応聞くけど、冤罪だったり…する?」
「ないね。残念ながら。」
「重ねて一応、なんで?」
「術師だけの世界を作るんだ。」
「…ははっ。意味わかんねー。」
「子供じゃないんだ。
誰でも彼でも理解してほしいとは思わないさ。」
「どーせ誰も理解してくれないって腐るのも、
それなりに子供だと思うけど?」
硝子はフーっと煙を吐いた。
さて、これはまずどうする?
「…ね、それで?こうやって一人一人に回ってんの?」
「ふふっ、違うよ硝子。
君から悟たちには言っといてくれ。
私はもう行くよ。」
「どこへだよ…おい待てったら。」
踵を返していた夏油は振り返った。
硝子は苛立ったような顔をしてタバコを咥える。
「あんねぇ、レイが今どうなっちゃてんか分かってんの?
あの子の気持ちは完全無視なわけ?」
夏油はうっすらと笑った。
「すまないね。」
「私に謝ってどうすんだよ。
今、はっきりわかった。
やっぱあんたが1番何考えてんのかわかんない奴だったわ。」
硝子は五条に電話をかけ始めた。
「じゃあね、硝子。元気でね。」
去っていく後ろ姿を睨みつける。
クマ太郎…
これでも五条より夏油の方が分かりやすい奴だって言うの?
やっぱり私にはまるでわからねーよ。