第22章 impurities
夏油は手元に呪霊を引き出した。
「君とここでやりあったら、この家は崩壊するかな…」
クマは何も言わずにただボワッと炎を滾らせ目を光らせている。
「これでもし私が負けて死んだとしたら、君はどうなるんだい?」
「レイさえ生きてりゃ、おいらは死なない」
「ならレイが死んで、私が生きていたとしたら?」
「それでも…おいらは死なない」
「そうなのかい?…なぜ?」
ピリピリとした禍々しい空気が漂う。
殺気立っているクマの目からビュシュッと閃光が放たれ、それを夏油の呪霊が払った。
「レイが死んだとしても、てめぇがおいらを生かしたいと思う気持ちさえあれば、おいらは死なねぇんだよ!」
夏油は目を見開いた。
やはりクマを生かしているのは、自分も関係していた…
クマにはレイと自分の呪力と、クマを生かしたいという気持ちがクマを生かしていた…?
いつの間にか、クマはいつもの愛らしい姿に戻っていた。
「…ふ……いいのかい?後悔するかもしれないよ?」
「……クマは家族想いなんだよ」
そう言い残し、クマはボンッと消えた。
残された夏油は悩ましい笑みを浮かべながら独り呟いた。
「君は間違いなく、私の家族だったよ…」