第3章 comrade
「同じ都内なら他人じゃないだろー?」
「いいじゃん、今度遊ぼうよ」
「おい」
突然違う声色が背後からしてビクンと肩を揺らす。
グイッと乱暴に肩を引かれて自分より前に出てきたのは五条だった。
「お前ら何者?こいつと絡むには俺の許可が必要なんだけど?」
長身の白髪にサングラスという、明らかにガラの悪い男が出てきたものだから目の前の3人は顔を強ばらせている。
「人の女に手出すなんていい度胸だよな。
マジでお前らさ……ぶっ殺すぞ」
ビクッ!!!
"ぶっ殺すぞ"
その言葉があまりにも奥から絞り出したような恐ろしい声色でレイまで腰が抜けるほどビビってしまった。
そのどす黒い声とサングラスからチラと見えた鋭く開ききった眼光に、3人は声も発さず瞬時に離れていってしまった。
それを見届けてからクルッと振り向いた五条はもう完全に元の雰囲気に戻っていて、
「はは、ナンパに合うとか意外とモテるじゃん!」
とかいいながらふざけている。
先ほどの彼とは別人なのではないかと思ってしまったくらいだ。
「あ、ありがと。悟。」
礼を述べると、五条は呆れたようにレイの手を握った。
「もう離れるなよ。レイは小さいから荷物に押し込まれて連れ去られるかもだし、天然だから迷子になりかねない。危なっかしいったらこの上ないわ…」
さっきからよくわからないことを言われている気がするが、手を握られギュッと身を寄せられているこの状況に混乱してしまい身動きが取れない。