第20章 curse
「あの人は正に超人。負けたことは恥じなくていい。
彼を研究したかったがフラれてしまってね〜惜しい人を亡くしたよ」
禪院甚爾はたしかに超人並の強さだった。
そんな彼を、五条は殺すことができた。
「天与呪縛はサンプルも少ないし、私の今の本命は②だね。
ねぇ、君も知ってるだろう?術師からは呪霊は生まれないって。」
夏油と九十九の目が合い、そして九十九はウインクをしながら続けた。
「だから大雑把に言ってしまうと、全人類が術師になれば、呪いは生まれない。」
夏油は目を逸らした。
そしてまた思い出す。
胸糞悪い記憶を…
「・・・じゃあ、」
「ん?」
「…非術師を皆殺しにすればいいじゃないですか」
言ってしまってからハッとなり、急いで口を開きかけた時、
「夏油くん…それは……」
「・・・」
「アリだ。」
「…え、いや、」
「というか多分、それが一番イージーだ。」
九十九は真剣な顔をして顎に指を当てて言った。
「非術師を間引きし続け、生存戦略として術師に適応してもらう…要は進化を促すの。鳥達が翼を得たように、恐怖や危機感を使ってね。」
俯き始める夏油を見ながら、九十九は笑って両手を上げた。
「でもね、残念ながら私はそこまでイカれてないっ。
…非術師は嫌いかい?夏油くん。」
「分からないんです。」
「うん?」
夏油は真顔でぽつりぽつりと喋りだした。
「呪術は非術師を守るためにあると考えていました。でも最近私の中で、非術師の…価値のようなものが揺らいでいます…
弱者故の尊さ、弱者故の醜さ…その分別と受容ができなくなってしまっている…」