第20章 curse
「ってのは冗談!でも高専と方針が合わないのは本当。…っていうか!この子が噂に聞いてた特級呪骸くんね?!かっわいいなぁ〜思ってたより!」
「っ!おいやめろっ!」
九十九がクマを抱き上げ、頬擦りをした。
「おいこらてめぇ!…うぅ〜!おい傑!お前この女と浮気したらレイに言い付けるからな!!」
「えぇっ」
ボンッとクマは瞬間移動で消えてしまった。
「あ〜あ!せっかく会えたのに〜行っちゃった!」
九十九は残念そうな顔をして夏油の隣に腰かけたかと思えば、にっこり笑ってまた喋りだした。
「でね、方針が合わないって話の続きだけど…
ここの人達がやってるのは対症療法だから。私は原因療法がしたいの。」
「原因療法?」
「そ!呪霊を狩るんじゃなくて、呪霊の生まれない世界を作ろうってこと」
九十九は頬杖をついて遠くを見つめだした。
笑みは消えて真剣な表情に変わっている。
「そもそも、呪霊とはなにかな?」
「…人間から漏出した呪力が澱のように積み重なり、形を成したものです」
「エクセレント!すると、呪霊の生まれない世界の作り方は2つ。
①全人類から呪力を無くす。②全人類に呪力のコントロールを可能にさせる。」
「・・・」
「①はね、結構いい線いくと思ったんだ〜モデルケースもいたしね」
「モデルケース?」
「君もよく知っている人さ。禪院甚爾。
天与呪縛によって呪力が一般人並になるケースはいくつか見てきたけど、呪力が完全に0なのは世界中探しても彼1人だった。」
夏油は腕を組んで視線を落とした。
あの日、あの場所で、本当はあいつに確実に殺されていた。
自分が呪霊操術を扱えるから死後めんどくさいと言う理由だけで殺されなかっただけ。
「彼の面白い点はそれだけじゃない。禪院甚爾は呪力0にも関わらず五感で呪霊を認識できた。呪力を完全に捨て去ることで肉体は一線を画し、逆に呪いの耐性を得たんだよ、彼は。」
九十九は少し楽しそうに語った。
自分の理想論を研究し続けている彼女の目は輝いている。