第20章 curse
「…非術師を見下す自分、それを否定する自分…
術師というマラソンゲームのその果てのビジョンがあまりに曖昧で…何が本音かわからない…」
「どちらも本音じゃないよ。まだその段階じゃない。」
九十九はにっこり笑いながら言った。
「非術師を見下す君、それを否定する君、これらはただの思考された可能性だ。
どちらを本音にするのかは、君がこれから選択するんだよ。」
夏油は目を見開いた。
いつか、クマに言われた一説を思い出す。
"求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。門をたたきなさい。そうすれば開かれる。だれでも、求める者は受け、探す者は見つけ、門をたたく者には開かれる。"
そして、初詣に行った時に引いたアレに書かれていたこと…
"新たな道を開く"
九十九はバイクに跨ると、残念そうに笑った。
「あの呪骸クマちゃんとお喋りしたかったし、五条くんにも挨拶したかったけど、間が悪かったようだ。」
「悟には私から言っておきます」
「これからは特級同士、3人と呪骸ちゃんで仲良くしようっ!
…あ!そうだ、最後に」
「?」
「星漿体のことは気にしなくていい。あの時もう1人の星漿体がいたか、既に新しい星漿体が産まれたのか…どちらにせよ天元は安定しているよ」
九十九由基は手を振ってバイクを飛ばして行ってしまった。
結局、天内理子の死は、存在は、
無意味だった。
自分たちが命懸けで守った命は…
一体…
価値ってなんだ?
自分がやってきたこと、やっていることに
価値はあるのか?