第20章 curse
高専に帰ってからは、伊地知に「任務報告書」の書き方を指導した。
「えーっとね、まず今日の日付とそれから名前。…で、ここの件名のところに場所を記入して。」
伊地知は言われた通りに書き始めた。
レイは皆のそれぞれの報告書が挟まったファイルを取り出し、パラパラとめくる。
探すのはやはり夏油の報告書だ。
1番字が綺麗だし、なにより書き方が丁寧。
いつも、なにもかもがさすがだと思っている。
「伊地知くん、これが良い例だよ!」
そう言ってファイルからそれを抜き取り、机に置いた。
その夏油の報告書には、達筆な字でこう書かれている。
△月△日 氏名 夏油傑
件名…渋谷区内廃マンションにて呪霊討伐
内容…103号室にて2級呪霊4体を発見、抜祓。
205号室にて準1級呪霊1体を発見、抜祓。
(すべて取り込み済)
問題点及び改善点…事前情報より数が多かった。
備考…かなり不味かった。
夜蛾のコメント欄には、◎と、お疲れ。と書かれている。
かなり不味かったには少し笑ってしまったが、確かに呪霊は酷い味だ。
それはレイにもよく分かる。
ともかく、夏油の報告書は完璧だ。
一緒に任務に行った時や、五条と3人で行った時などの報告書もいつも夏油が書いてくれる。
レイはまたファイルを捲りながら、今度は五条の報告書を見つけた。
かなり雑な大きめの字で書かれている。
△月△日 だっけ? 氏名 ごじょー
件名…空欄
内容…2級と準1級を倒した
問題点及び改善点…ガキに見られそうになったくらい
備考…ちょっと建物くずれた
夜蛾のコメント欄には、説明しろ!とだけ書かれている。